身がたっぷりと詰まり、濃厚でとろける甘さが魅力の旬のうに。うには、一般的にいわれている旬の時期もありますが、北海道から九州地方まで広いエリアで漁獲でき、さらにいろいろな種類があり、産地や種類などによって旬は異なります。
今回の記事では、エゾバフンウニやキタムラサキウニなど種類ごとに旬の時期を解説します。それぞれのうにが最も美味しく食べられる時期を知ることは、うにを食べる楽しみを何倍にも高めてくれるはずです。ぜひ参考にしてください。

うにの旬の時期は?

うにの旬の時期は、一般的には2〜3カ月ほどだといわれています。また、日本で多く食べられているうには、8月ごろに旬を迎えるものが多いです。一見、旬がとても短いように感じますが、海にかこまれた日本には、北海道、東北地方、北陸地方、中国地方、九州地方など、多くのうにの産地があります。さらに、うにの種類によっても旬の時期が異なります。

うにの種類ごとの特徴と旬の時期について

うには、日本海近郊だけでも約160種類も生息しているといわれていますが、食用とされているのはそのうちわずか10種類ほどです。ここでは、その中から5種類を取り上げ、特徴と旬の時期について解説します。

1.バフンウニ

茶色でタワシに似た形状のバフンウニは、東北から九州まで広いエリアで水揚げされ、特に一般的に食べられているうにです。3月ごろに暖かい九州地方の日本海沿岸で旬を迎えると、その後、旬の産地が日本海沿岸を北上するように移り変わっていきます。東北地方で旬を迎えるのは4月です。
身はオレンジがかった黄色で、大きさは1〜2センチメートル程度と小粒ですが、非常に濃厚でなめらかな舌ざわりが特徴です。

2.エゾバフンウニ

緑色をおびた殻に覆われたエゾバウンウニは、北海道と東北地方、千葉の太平洋沿岸で水揚げされます。ロシアや朝鮮半島、中国東北部でもとれますが、日本近海でとれるものは特に品質が高いといわれています。旬は7月から9月にかけてです。身はバフンウニよりもオレンジがかった黄色で、ひとサイズ大きく、甘みが強く濃厚な味わいが特徴です。

ちなみに、オレンジ色が濃いほど、ビタミンAの「エノキネン」が多く含まれていて、それが甘さに関係しています。つまりオレンジ色の鮮やかさを見ることで、より甘みのあるエゾバフンウニを選ぶことができます。
北三陸ファクトリーでは、エゾバフンウニもお取り扱いしています。

3.アカウニ

エゾバフンウニの旬が終わるころに旬を迎えるのが、アカウニです。赤褐色の殻に覆われ、少し平たい形状をしたアカウニは、主に佐賀と長崎で水揚げされます。旬は9月から10月にかけてです。
身はしっかりとしていて、甘みが強く濃厚な味わいが特徴です。料理人や食通からの評価も高く、また収穫量がほかの種類より少ないことから、特に高級食材として扱われています。

4.ムラサキウニ

黒くて長いトゲに覆われたムラサキウニは、日本海沿岸では秋田県より南方、太平洋沿岸なら茨城県より南方と広いエリアで水揚げされます。旬は6月から8月にかけてです。身は黄色で、全体的に味は濃厚ですが、産地によって味が異なるといわれています。西の方でとれたものほど味が濃厚になる傾向があるようです。

旬が少し長く、とれた場所によっても味が異なるため、「産地で味くらべをする」という楽しみ方もできます。

5.キタムラサキウニ

ムラサキウニよりも少し大きく、若干、緑がかった黒い殻に覆われたキタムラサキウニは、太平洋沿岸では相模湾よりも北方、日本海沿岸では山口県よりも北方で水揚げされます。旬は9月から11月にかけてです。身が大きくしっかりしていて、くせの少ない甘みのある味わいが特徴です。その身の大きさと味わいから、寿司ネタとしても人気があります。

北三陸ファクトリーは主にこのキタムラサキウニをお取り扱いをしています。

塩漬けのうにとは

生のうにには、それぞれ旬がありますが、旬を問わずに楽しめるうにもあります。その1つが「塩うに」と銘打って販売されている塩漬け加工されたうにです。塩うには、新鮮なうにに塩を振り、余分な水分を抜いた後、びんなどに詰めてあります。保存性が高く、長期にわたって美味しさがキープされています。
味も、生うにとひと味異なり、生うにのうま味がぎゅっと濃縮したような味わいが楽しめます。

うにに使われる「ミョウバン」とは

そのままの生うには、水揚げから時間が経つと身がくずれて、溶けてしまいます。それを防ぐために、「ミョウバン」が使用されることがあります。ミョウバンは硫酸アルミニウムカリウムという物質で、ナスなどの野菜のアク抜きや焼き菓子などをふくらませるため、食品の色の保持やタンパク質の凝固を促進して型崩れを防ぐためなど、食品加工において広く使われています。
ただし加工法によっては、苦味や薬品臭を感じさせる原因にもなります。

北三陸ファクトリーの製品では、このミョウバンは一切使用しておりません。

北三陸ファクトリーの取り組み

岩手県の沿岸最北端、北三陸・洋野町を拠点とする⽔産会社で、『再生型水産業』を掲げ、うにの「再生養殖」にも取り組んでいます。

豊かな⾃然と地域の未来を創る「はぐくむうに」

現在、海の砂漠化ともいわれる「磯焼け」が大きな問題となっています。さまざまな要因がありますが、その1つが、うになどが海藻を⾷べ尽くしてしまう「食害」だと考えられています。この磯焼けの進⾏を⽌めるため、全国でうにの駆除が推奨され、駆除されたうには痩せていて商品価値がないため、廃棄されています。

北三陸ファクトリーは、大切な水産資源を廃棄してしまっているこの現状に問題意識を持ち、磯焼けによるエサ不足で痩せたうにを廃棄するのではなく、海から回収し、上質な飼料を与えて実⼊りの良いうにに育てる「再生養殖」に2016年ごろから取り組んでいます。6年の年月をかけ養殖技術と飼料の開発を行い、2021年の12月下旬から、再生養殖で出来た生うにの試験販売をスタートさせました。

うに再生養殖を通じて⽔産の未来を創るこのうにを、“豊かな⾃然と地域を様々な⼈と⼀緒に育む”という願いを込めて「はぐくむうに®」と名づけブランド化し、販売しております。2021年の試験販売を経て、2022年の12月から本格的に販売をスタートしました。
これにより、うにの流通量が少ない時期にも、生うにが楽しめるようになります。

「うに再生養殖」に係る特許取得

はぐくむうには、岩手県洋野町内の漁協および北海道道南地域の漁協、漁師との連携と、北海道大学らと6年以上の月日をかけて開発した仕組みによって、生まれました。その仕組みや専用の飼料、生簀は特許を取得しています。

特許
  • うに養殖用飼料の組成 ※北海道大学らとの共同出願
  • うに用の生簀、うに用の水槽の構造(特許第7082388号、特許第7029133号)
商標
  • HAGUKUMU-UNI はぐぐむうに(商標登録第6569232号)
  • HAGUKUMU-TANE はぐぐむたね(商標登録第6587059号)

今後は磯焼けに悩む全国の地域、水産事業者に向け「うに再生養殖」の取り組みを広げていく計画です。

まとめ

うには非常に多くの種類がありますが、そのうちのわずか10種類ほどしか食用でないことを取り上げ、5つの食用うにの特徴と旬を解説しました。うにについて知れば知るほど、より一層、うにを楽しめるようになることでしょう。

今回は、さらに「食害」を起こす邪魔者として扱われている磯焼けエリアの痩せたうにを回収して、美味しいうにに育てる「再生養殖」の取り組みも紹介しました。この取り組みが広がることで、海がより豊かになり、天然の生うにの流通量が少ない時期も、養殖の生うにが手軽に楽しめる日が来るかもしれません。

北三陸ファクトリーでは、食の安心・安全を追求しながら日々技術研鑽に努め、水産業に取り組んでいます。岩手県洋野町で採れた新鮮な生うに、素材の良さを生かした「塩うに」に加えて、新鮮なうにと発酵バターを組み合わせた「うにバター」などのユニークなうに加工製品をつくり、販売しています。ご興味のある方は、是非オンラインストアをご覧ください。

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