うにの主な栄養素とカロリーってどれくらいあるの?食べる際の注意点についても解説!

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うにの主な栄養素とカロリーってどれくらいあるの?食べる際の注意点についても解説!

「うに」は、濃厚なうま味を持つ高級食材として知られ、うにの軍艦巻きやうに丼など、うに料理が好きな人も多いことでしょう。一方、健康な体を維持するために必要な栄養素を多く含んだ食材であることは知らない人も多く、「プリン体」などの成分を気にして食べたいのに避けている人もいるようです。実際は、痛風は生活習慣病なので問題はプリン体だけではなく、プリン体の成分単体で痛風に繋がるという訳でもないと言われています。
むしろ、うには多くの栄養素を含む素晴らしい食材です。

そこで、うにには具体的にどのような栄養素(成分)が含まれているのか、カロリーはどれくらいあるのかなどについて、分かりやすく解説します。食べる際の注意点にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

うにの栄養素

うにに含まれる代表的な栄養素について、分かりやすく解説します。

脂質

うにに含まれる代表的な栄養素の1つが「脂質」です。脂質を構成する要素の1つである脂肪酸は、エネルギーの源になるほか、ホルモンや細胞膜を構成したり、皮下脂肪となって臓器を守ったり、脂溶性ビタミンの吸収をサポートしたりする重要な栄養素です。

さらに、うにには体内でほとんどつくれないため食べ物から摂取する必要がある「DHA」や「EPA」といった必須脂肪酸も含まれています。DHAは脳の働きを活性化する効果が期待でき、EPAは血中の中性脂肪や悪玉コレステロールを減らし、健康な状態に保つ効果が期待できるといわれています。

ビタミン

うにには、眼精疲労の回復や視力の維持に効果があるビタミンAと、高い抗酸化作用を持つビタミンEという2種類の脂質性ビタミンを含んでいます。抗酸化作用は、血液などの酸化を抑える作用であり、心筋梗塞や動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果が期待できるといわれています。

さらに脂質性ビタミンだけでなく、水溶性ビタミンであるビタミンB群(B1、B2、B12、葉酸など)も含みます。B1は糖質を代謝してエネルギーを生み出すために使われ、B2はエネルギー代謝に加えて皮膚や粘膜の健康を維持するために使われます。またB12は、赤血球をつくる働きがあり貧血の予防や神経機能の維持に欠かせない栄養素です。

葉酸もビタミンB12とともに赤血球をつくる作用があるビタミンです。葉酸は特に胎児の発達をサポートする働きが期待できるため、妊娠を望んでいる女性や妊娠中の女性に対しては積極的な摂取が勧められています(ただし、うにの生食は避けて加熱して食べるようにしましょう)。

アミノ酸

体を構成する成分で最も多いのが水、次に多いのがアミノ酸です。アミノ酸には、体内で合成できる非必須アミノ酸と合成できない必須アミノ酸があり、健康を維持するには両方をバランスよく体内に持っていることが大切です。うにには、必須アミノ酸が多く含まれています。

また、アミノ酸には心臓の機能を高め、血の巡りを良くする作用が期待でき、貧血や高血圧などの予防にも効果があるといわれています。

タウリン

うにには、心臓や肝臓の機能を高める作用があるタウリンも含まれています。タウリンは体内でタンパク質がアミノ酸に分解される過程でもつくられますが、健康を維持するために食事から取り入れるのもお勧めです。
タウリンは、高血圧や二日酔いを予防する効果も期待できるといわれています。

うにのカロリーってどれくらい?

食品成分データベース(文部科学省)によると、うにのカロリーは100グラム当たり約120キロカロリーです。店舗によりますが、寿司のうに軍艦に盛られているうにの量は一般的に10~20グラム、うに丼で80~100グラム程度。そう考えると、うにのカロリーはさほど気にする必要はないでしょう。

うにを食べる際の注意点

うにには下記の栄養も含まれています。体にとって良い栄養素も、とり過ぎると「害」となることがあります。基本的なことですが、多量に食べるのではなく、適切な量を美味しく食べるようにしましょう。

コレステロール

生うにには、100グラム当たり290ミリグラムのコレステロールが含まれています。コレステロールは、体や細胞膜の働きを微調整するホルモン、脂肪を消化・吸収する働きや髪や肌を整える働きがある胆汁酸をつくるためなどに欠かせない成分です。コレステロール値が高い方は、とりすぎには注意しましょう。

プリン体

まるで健康に悪いもののようなイメージのあるプリン体ですが、実は身体を動かすのに欠かせないエネルギー伝達物質でもあります。 また、皮膚や内臓の細胞が生まれ変わる際(細胞の新陳代謝)にもプリン体が使われるため、生命活動には必須の物質です。

生うにには、100グラム当たり137.3ミリグラムのプリン体が含まれています。プリン体は、穀物や肉、魚、野菜など主な食物に含まれるうま味成分です。納豆には100グラム当たり113.9ミリグラム、ササミは153.9ミリグラムのプリン体が含まれています。プリン体が多く含まれるうにですが、実は身近な食材にもプリン体は多く含まれています。
うにに限らず、同じ食べ物の過剰摂取は避けるようにしましょう。

うにを食べよう!

前項までで、うにはヘルシーかつ栄養面で優れていることに触れてきました。さらに、うにには乳酸菌を増やす作用があるともいわれています。ある実験では、粉末にしたうにを10 週間摂取し続けたところ、腸内環境の改善機能が認められました。うには、生うにや粒うにを醤油で食べたり、焼いて食べたりと単体で食べるほかにも、寿司や丼物、うにのクリームパスタなど、さまざまな料理で楽しめます。さらに、うにを使った水産加工品もいろいろな種類があります。

岩手県の沿岸最北端、北三陸・洋野町を拠点とする⽔産会社である北三陸ファクトリーがつくる、うにバター「UNI&岩手産バターSPREAD」は、新鮮なうにと発酵バターを組み合わせた逸品です。発酵バターの製造過程で乳酸菌を用いて原料のクリームを発酵させているため、ヨーグルト同様に 腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きが期待できます。
実はヘルシーで乳酸菌を増やす作用も期待できるうにと、ヨーグルト同様の健康効果が期待できる発酵バターでつくった「UNI&岩手産バターSPREAD」を、ぜひ一度お試しください。

まとめ

濃厚なうま味を持つ高級食材として知られているうには、美味しいだけでなく、多くの栄養素が含まれており、適切に食べることで健康にも良いことを紹介してきました。ぜひ、本記事で解説した食べる際の注意点も参考にして、うにを食べてください。

北三陸ファクトリーでは、食の安心・安全を追求しながら日々技術研鑽に努め、水産業に取り組んでいます。先ほどご紹介した「UNI&岩手産バターSPREAD」以外にも、岩手県洋野町で採れた新鮮な生うに、素材の良さを生かした「塩うに」、帆立と混ぜて調味料で味付けした「うにスプレッド」、豆乳でつくった「うにフラン」など、ユニークなうに加工製品をつくり、販売しています。ご興味のある方は、是非オンラインストアをご覧ください。

うにの旬はいつ?種類ごとの特徴についても解説!

身がたっぷりと詰まり、濃厚でとろける甘さが魅力の旬のうに。うには、一般的にいわれている旬の時期もありますが、北海道から九州地方まで広いエリアで漁獲でき、さらにいろいろな種類があり、産地や種類などによって旬は異なります。
今回の記事では、エゾバフンウニやキタムラサキウニなど種類ごとに旬の時期を解説します。それぞれのうにが最も美味しく食べられる時期を知ることは、うにを食べる楽しみを何倍にも高めてくれるはずです。ぜひ参考にしてください。

うにの旬の時期は?

うにの旬の時期は、一般的には2〜3カ月ほどだといわれています。また、日本で多く食べられているうには、8月ごろに旬を迎えるものが多いです。一見、旬がとても短いように感じますが、海にかこまれた日本には、北海道、東北地方、北陸地方、中国地方、九州地方など、多くのうにの産地があります。さらに、うにの種類によっても旬の時期が異なります。

うにの種類ごとの特徴と旬の時期について

うには、日本海近郊だけでも約160種類も生息しているといわれていますが、食用とされているのはそのうちわずか10種類ほどです。ここでは、その中から5種類を取り上げ、特徴と旬の時期について解説します。

1.バフンウニ

茶色でタワシに似た形状のバフンウニは、東北から九州まで広いエリアで水揚げされ、特に一般的に食べられているうにです。3月ごろに暖かい九州地方の日本海沿岸で旬を迎えると、その後、旬の産地が日本海沿岸を北上するように移り変わっていきます。東北地方で旬を迎えるのは4月です。
身はオレンジがかった黄色で、大きさは1〜2センチメートル程度と小粒ですが、非常に濃厚でなめらかな舌ざわりが特徴です。

2.エゾバフンウニ

緑色をおびた殻に覆われたエゾバウンウニは、北海道と東北地方、千葉の太平洋沿岸で水揚げされます。ロシアや朝鮮半島、中国東北部でもとれますが、日本近海でとれるものは特に品質が高いといわれています。旬は7月から9月にかけてです。身はバフンウニよりもオレンジがかった黄色で、ひとサイズ大きく、甘みが強く濃厚な味わいが特徴です。

ちなみに、オレンジ色が濃いほど、ビタミンAの「エノキネン」が多く含まれていて、それが甘さに関係しています。つまりオレンジ色の鮮やかさを見ることで、より甘みのあるエゾバフンウニを選ぶことができます。
北三陸ファクトリーでは、エゾバフンウニもお取り扱いしています。

3.アカウニ

エゾバフンウニの旬が終わるころに旬を迎えるのが、アカウニです。赤褐色の殻に覆われ、少し平たい形状をしたアカウニは、主に佐賀と長崎で水揚げされます。旬は9月から10月にかけてです。
身はしっかりとしていて、甘みが強く濃厚な味わいが特徴です。料理人や食通からの評価も高く、また収穫量がほかの種類より少ないことから、特に高級食材として扱われています。

4.ムラサキウニ

黒くて長いトゲに覆われたムラサキウニは、日本海沿岸では秋田県より南方、太平洋沿岸なら茨城県より南方と広いエリアで水揚げされます。旬は6月から8月にかけてです。身は黄色で、全体的に味は濃厚ですが、産地によって味が異なるといわれています。西の方でとれたものほど味が濃厚になる傾向があるようです。

旬が少し長く、とれた場所によっても味が異なるため、「産地で味くらべをする」という楽しみ方もできます。

5.キタムラサキウニ

ムラサキウニよりも少し大きく、若干、緑がかった黒い殻に覆われたキタムラサキウニは、太平洋沿岸では相模湾よりも北方、日本海沿岸では山口県よりも北方で水揚げされます。旬は9月から11月にかけてです。身が大きくしっかりしていて、くせの少ない甘みのある味わいが特徴です。その身の大きさと味わいから、寿司ネタとしても人気があります。

北三陸ファクトリーは主にこのキタムラサキウニをお取り扱いをしています。

塩漬けのうにとは

生のうにには、それぞれ旬がありますが、旬を問わずに楽しめるうにもあります。その1つが「塩うに」と銘打って販売されている塩漬け加工されたうにです。塩うには、新鮮なうにに塩を振り、余分な水分を抜いた後、びんなどに詰めてあります。保存性が高く、長期にわたって美味しさがキープされています。
味も、生うにとひと味異なり、生うにのうま味がぎゅっと濃縮したような味わいが楽しめます。

うにに使われる「ミョウバン」とは

そのままの生うには、水揚げから時間が経つと身がくずれて、溶けてしまいます。それを防ぐために、「ミョウバン」が使用されることがあります。ミョウバンは硫酸アルミニウムカリウムという物質で、ナスなどの野菜のアク抜きや焼き菓子などをふくらませるため、食品の色の保持やタンパク質の凝固を促進して型崩れを防ぐためなど、食品加工において広く使われています。
ただし加工法によっては、苦味や薬品臭を感じさせる原因にもなります。

北三陸ファクトリーの製品では、このミョウバンは一切使用しておりません。

北三陸ファクトリーの取り組み

岩手県の沿岸最北端、北三陸・洋野町を拠点とする⽔産会社で、『再生型水産業』を掲げ、うにの「再生養殖」にも取り組んでいます。

豊かな⾃然と地域の未来を創る「はぐくむうに」

現在、海の砂漠化ともいわれる「磯焼け」が大きな問題となっています。さまざまな要因がありますが、その1つが、うになどが海藻を⾷べ尽くしてしまう「食害」だと考えられています。この磯焼けの進⾏を⽌めるため、全国でうにの駆除が推奨され、駆除されたうには痩せていて商品価値がないため、廃棄されています。

北三陸ファクトリーは、大切な水産資源を廃棄してしまっているこの現状に問題意識を持ち、磯焼けによるエサ不足で痩せたうにを廃棄するのではなく、海から回収し、上質な飼料を与えて実⼊りの良いうにに育てる「再生養殖」に2016年ごろから取り組んでいます。6年の年月をかけ養殖技術と飼料の開発を行い、2021年の12月下旬から、再生養殖で出来た生うにの試験販売をスタートさせました。

うに再生養殖を通じて⽔産の未来を創るこのうにを、“豊かな⾃然と地域を様々な⼈と⼀緒に育む”という願いを込めて「はぐくむうに®」と名づけブランド化し、販売しております。2021年の試験販売を経て、2022年の12月から本格的に販売をスタートしました。
これにより、うにの流通量が少ない時期にも、生うにが楽しめるようになります。

「うに再生養殖」に係る特許取得

はぐくむうには、岩手県洋野町内の漁協および北海道道南地域の漁協、漁師との連携と、北海道大学らと6年以上の月日をかけて開発した仕組みによって、生まれました。その仕組みや専用の飼料、生簀は特許を取得しています。

特許
  • うに養殖用飼料の組成 ※北海道大学らとの共同出願
  • うに用の生簀、うに用の水槽の構造(特許第7082388号、特許第7029133号)
商標
  • HAGUKUMU-UNI はぐぐむうに(商標登録第6569232号)
  • HAGUKUMU-TANE はぐぐむたね(商標登録第6587059号)

今後は磯焼けに悩む全国の地域、水産事業者に向け「うに再生養殖」の取り組みを広げていく計画です。

まとめ

うには非常に多くの種類がありますが、そのうちのわずか10種類ほどしか食用でないことを取り上げ、5つの食用うにの特徴と旬を解説しました。うにについて知れば知るほど、より一層、うにを楽しめるようになることでしょう。

今回は、さらに「食害」を起こす邪魔者として扱われている磯焼けエリアの痩せたうにを回収して、美味しいうにに育てる「再生養殖」の取り組みも紹介しました。この取り組みが広がることで、海がより豊かになり、天然の生うにの流通量が少ない時期も、養殖の生うにが手軽に楽しめる日が来るかもしれません。

北三陸ファクトリーでは、食の安心・安全を追求しながら日々技術研鑽に努め、水産業に取り組んでいます。岩手県洋野町で採れた新鮮な生うに、素材の良さを生かした「塩うに」に加えて、新鮮なうにと発酵バターを組み合わせた「うにバター」などのユニークなうに加工製品をつくり、販売しています。ご興味のある方は、是非オンラインストアをご覧ください。

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水産加工とは?水産加工の歴史や、加工品の種類などをご紹介!

スーパーマーケットには水産加工品コーナーがあり、かまぼこやちくわ、さつま揚げなど、美味しそうな食べ物が陳列棚を彩っています。この水産加工品の豊富さは、日本が世界に誇る食文化の1つです。海にかこまれ水産物が豊富にとれる日本において発展してきた「水産加工」の歴史や加工品の種類などについてご紹介します。

水産加工とは?

海洋や河川、湖沼などからとれる魚介類や海藻類などの水産物。「水産加工」とは、それら水産物に手を加え、味や香り、色味などの嗜好性を高めたり、栄養価を高めたり、保存性を高めたりすることをいいます。また、上記のように加工された商品のことを「水産加工品」と呼びます。

水産加工の歴史

日本の水産加工の歴史は古く、縄文時代にはすでに塩を使った加工が行われていたと考えられています。飛鳥時代や奈良時代、鎌倉時代など朝廷が統治する時代が訪れると、収穫した農作物や水産物に加え、地域の特産として水産加工品も税として納められていたようです。海洋や河川、湖沼などの地域から内陸部に運べるほどに長期保存の技術が確立されていったのもこの時期だとみられています。また、江戸時代には鰹節の製法も確立されたほか、佃煮も生まれました。

水産加工品の種類

海にかこまれ海産物に恵まれた日本では水産加工技術が著しく発達し、現在はさまざまな水産加工品がつくられています。農林水産省の「令和3年水産加工統計調査結果」によると、令和3年(2021年)には、食用加工品として143万8686トン生産されました(焼・味付のりを除く)。加工品の主な種類としては、「ねり製品」「煮干し品」「冷凍食品」「塩蔵品」「塩干品」「節製品」が挙げられています。

水産加工の仕事

水産加工の仕事は、海産物を扱い、人の体内に入る食べ物をつくる仕事です。水産加工品の製法は、地域や企業によってそれぞれですが、衛生面と品質を特に厳しく管理しています。新鮮な素材を使うことからはじまり、加工途中の仕掛け品や完成品の検査、衛生面の徹底などを重ね、水産加工品をつくっています。

水産加工品ができるまで

水産加工品をつくる手順は、原料とする水産物や加工の種類、調理法などによってさまざまですが、一般的な手順は次の通りです。

最初に原料の調達です。漁獲や養殖、市場での仕入れなどで、原料となる水産物を調達します。次に洗浄で異物(汚れなど)を洗い流し、必要に応じて内臓などの不要な部分を取り除きます。その後、調味料などを用いて味付けし、釜に入れて加熱するなど調理します。調理が完了したら、運搬・保存しやすいように包装し、異物などが混入していないか、製品として問題ないかを手作業や機械などで検品すると完成です。出来上がった製品は、梱包して出荷します。

いろいろな水産加工品

海産物が豊富な日本では、いろいろな種類の水産加工品がつくられています。代表的なものを紹介します。

かまぼこ

かまぼこは、スケソウダラやオキギス、ムツ、イサキなどの白身魚のすり身でつくられます。すり身を焼く「焼きかまぼこ」、蒸す「蒸しかまぼこ」、揚げる「揚げかまぼこ」、ゆでる「はんぺん、なると」などがあり、スーパーマーケットなどで目にする板に乗ったかまぼこは「蒸し板かまぼこ」と呼びます。

板は、すり身の形状をくずれにくくする目的のほかに、蒸した後に出る余分な水分を吸収して品質と保存性を高めるという役割もあります。

主な食べ方は、包丁でカットして、そのまま醤油とワサビで食べる「板わさ」です。

わかめ・海苔

わかめの水産加工品として代表的なのが、わかめを乾燥して保存性を高めた「乾燥わかめ」です。乾燥わかめには、塩抜きした塩蔵わかめを細かく切った「カットわかめ」、生わかめをそのまま乾燥させた「素干しわかめ」、草木を燃やした灰をまぶして天日干した「灰干しわかめ」などがあります。

灰干しわかめは鳴門海峡に面した地域の特産品で、素干しわかめに比べて緑色が鮮やかで歯ごたえが良く、わかめ特有の香りが長持ちするのが特徴です。

海苔の水産加工品として代表的なのは、薄い板状に乾燥して保存性を高めた「乾し海苔」です。乾し海苔加工は、紙をすくのと同じような方法でつくられます。品質の劣化を防ぐために短時間で乾燥させなければならず、現在は手作業ですくよりも、工場の機械でつくられるのが一般的です。

干物

魚の干物は、生魚を開き、流水で血や内臓を洗い流した後、塩水や調味液に漬けてから干してつくります。干物にすることで保存性が高まるだけでなく、うま味が凝縮するのが特徴です。また、干物は塩水などに浸したときに、魚の表面近くの筋繊維が膨らみ筋繊維同士の隙間が狭くなります。その結果、焼いているときに水分が逃げづらくなり、ふっくらと焼き上がるという魅力もあります。

缶詰

海産物を缶に詰めて密封して高温加熱した缶詰は、保存性が非常に高いのが特徴です。生産時に工場で加熱処理されているため、開けてそのまま食べることができます。

日本では品質表示基準などの規格で殺菌工程を経ているものを「缶詰」と定めていますが、世界には、あえて殺菌をしない缶詰もあります。例えば、“世界一臭い缶詰”とも言われるスウェーデンの「シュールストレミング」は、ニシンの塩漬けを缶に入れた後、殺菌せずに発酵させた水産加工品です。

うに加工品

上記で紹介したのは加工の種類の一例であり、1種類の原料(水産物)から、さまざまな種類の水産加工品がつくられています。例えば鮮度が比較的落ちやすいとされる「うに」ひとつとっても、水産加工品の種類はさまざまです。

北三陸ファクトリーでは、新鮮な生うにに塩を振り、低温で寝かせて熟成させた「塩うに(びん詰)」、生うにをそのまま缶に入れて蒸した「蒸しうに(缶詰)」など、素材の美味しさを凝縮しつつ長期保存を可能にしたものに加えて、うにを水揚げ後すぐに蒸し上げ、発酵バターと混ぜて味付けした「UNI&岩手山バターSPREAD」豆乳をベースにつくった「うにフラン(西洋茶わん蒸し)」など、ユニークな製品が日々生み出されています。

未来に向けた、水産加工の取り組み

水産物を原料とする「水産加工」の世界においても、現在、「サステナビリティ(持続可能性)」に関する意識が高まっています。未来に向けた取り組みの一例を紹介します。

水産では珍しいトレーサビリティシステム

トレーサビリティとは、「原材料の調達から⽣産、そして消費または廃棄まで追跡できる状態にすること」です。トレーサビリティシステム(仕組み)を整備し、製造にかかわる各事業者が原材料や中間製品、製品を取り扱った際の記録を保存しておくことで、 製品に不良や不具合が発生した際にその問題を調べ、解決を図ることが可能になります。近年では製品の品質向上に加え、安全意識の⾼まりから重要度が増しており、⾷品の分野にも浸透しています。

水産の分野では、まだ一般的ではありませんが、持続可能な水産業を考える上でも、このトレーサビリティの重要性が高まっています。

北三陸ファクトリーの安心安全への取り組み

岩手県の沿岸最北端、北三陸・洋野町を拠点とする⽔産会社である北三陸ファクトリーも、水産のトレーサビリティに取り組む会社の1つです。同社は、消費者に安⼼安全な⽔産品を提供することを目的に、うに製品のトレーサビリティシステムを開発しました。製品に貼付されているQRコードを読み込むことによって、その製品が「いつ、どこで、誰によってつくられたのか」を知ることができます。

その他にも北三陸ファクトリーは、水産の未来に向けたサステナブルな事業も進めています。現在、海の砂漠化とも⾔われる「磯焼け」が大きな問題となっています。地球温暖化による自然環境の変化などさまざまな要因がありますが、その1つが、うになどが海藻を⾷べ尽くしてしまう「食害」だと考えられています。この磯焼けの進⾏を⽌めるため、全国でうにの駆除が推奨され、駆除されたうには痩せていて商品価値がないため、廃棄されています。

北三陸ファクトリーは、大切な水産資源を廃棄してしまっているこの現状に問題意識を持ち、磯焼けによるエサ不足で痩せたウニを廃棄するのではなく、海から回収し、上質な飼料を与えて実⼊りの良いうにに育てる仕組みを開発しました。その仕組みによって⽣産された美味しい養殖うには、「はぐくむうに®」ブランドとして2021年に試験販売を開始、2022年より販売を開始します。

まとめ

水産物に手を加え、味や保存性などを高める水産加工。その歴史は古く、先人たちのたゆまぬ努力によって受け継がれ、発展してきました。現在ではいろいろな種類の水産加工品がスーパーマーケットなどに並び、私たちは一年を通じて美味しい海産物を楽しむことができます。

北三陸ファクトリーでは、食の安心・安全を追求しながら日々技術研鑽に努め、水産業に取り組んでいます。その中で、岩手県洋野町で採れた新鮮な生うにに加えて、素材の良さを生かした「UNI&岩手産バターSPREAD」をはじめとした加工製品をつくり、販売しています。ご興味のある方は、是非オンラインストアをご覧ください。

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